「ただいま…」
「お帰り薫殿。どうしたでござるか、元気が無いでござるよ?」
「……。」
「恵殿と妙殿と飲んできたのでござろう?楽しくなかったのでござるか?」
「……。」
―――おろ。どうしたものか。黙られては何も分からぬ。
―――それにまだ少し酔ってるようにも見える。
「薫殿?」
「…い?」
「え?」
「剣心は胸の小さい女は嫌い?」
―――は?
「か、薫殿?」
「私みたいな…胸の小さい女は、嫌い?」
―――な、何を言い出すのか、この御仁は…。
「あの、薫殿。妙殿と恵殿にそう言われたのでござるか?」
「……ん。(こくり)」
――――げげっ、薫殿ってば泣きそうな顔…。
「…胸の小さい私は…その、色気なくて、だから剣心が構ってくれないんだって…」
―――少し酔って頬を染めて帰ってきて、涙目で拙者を見つめて。
―――充分、愛らしくて色気あると思うのだが。
―――それにどっちかっていうと薫殿の胸はデカい方に部類されるのではござらんか?
―――着物着てあれだけの体の線を描けてたら立派なもんでござるよ。
「剣心、聞いてる?」
「え、あ、はい。」
「で、どうなの?」
「どうなの、と申されると?」
「私の胸、小さい?」
「……。」
―――先までは嫌いかどうかと尋ねてきたのに…
「剣心?」
「あ、その………拙者には分からないでござるよ。」
「…………。」
―――あ、ダメだ。納得いかぬ顔をしてる。
「薫殿…?」
「……。」
―――俯いちゃって…だんまり決め込んじゃったでござろうか?
「薫ど――え、なに…」

スッ



―――〜〜〜///〇×%#@*▽▲ツ!?
「かかかかかかかか薫殿ォ!?」
「……ねぇ、やっぱり小さい?」
―――か、薫殿!酔ってるとはいえ、こんなっ、大胆な!
―――そして薫殿の手を振り払う事の出来ない、この拙者の弱さ!!情けないというか不可抗力というか…
「剣心…?」
「な、何?!なんでござる?!」
―――声が裏がえってるでござるよ拙者!
「まだ…分からない?」
「ななな何がでござる!?」
―――ま、まさか誘っている?!それに気づけという事か?!
「か、薫どのっ…」
「やっぱり…小さい?」―――あ、なんだ、違うのか。
「ねぇ、剣心。どうなの?」
「え、え、あ…その………わからんよ!わからん!」
―――た、頼むからもう離して頂けないだろうか!
手のひらで胸を包むだけのような形になっているが、
それなりに弾力も感じるワケで…
「薫殿っ、そろそろ手を…」
「分からないなら仕方ないかな…」
―――そうそう!仕方ないんでござるよ!
「一回だけなら…力入れても良いよ。」
―――は?
「…手を被せるだけじゃ分からないわよね。」
「かかかかかかかかお…!?」
―――薫殿ォ〜!?そ、それはつ、つまり…っ
「せ、拙者にそのっ、む、胸をっ、…も、もも揉め…と!?」
「だって…分からないんでしょ?」
「そ、そこまで気になるでござるか!?」
―――酔ってるせいでもあると思うが、し、しかし!
お互い想いを遂げてないし口付けだってしたことない仲なのに…
いきなり胸を揉めと!?
―――いかん!薫殿は正気ではない!
それに拙者だって薫殿の胸なんて揉んだら
正気でいられる自信など…
「剣心…やっぱり私の事…嫌いなんだ…」
「おろ!?」
「ふ…ふぇっ…」
―――ああっ!な、泣いちゃったでござる!ど、どうしよう!
―――くそっ…もうこうなったら…!!

むぎゅっ!!

「んっ…!」
―――や、やわらかっ…!ヤバッ、体中の血液がっ、一点に!!
―――てか薫殿!声を上げるなでござるよ!
「んっ」ってなんでござるか!?
やっぱり誘ってるのでござるか!
………っていかん!本来の目的を果たさねば!
「か、薫殿!大丈夫!こんなに柔らかいし、その、大きい…と思うが!?」
「…ほ、本当に?」
「本当でござる!あー大きいでござるなぁ!薫殿の胸!」
むぎゅっ
もきゅっ
「んんっ!」
―――し、しまった!ついまた揉んで…!
お、恐ろしや拙者の本能…!てか柔らかいな本当!
も、もう一回だけ…ってバカバカ拙者の阿呆!
「じゃあ剣心…私の事、好きでいてくれるの?」
―――わっ!どうしよ…本題に!!
―――だ、だが胸を揉んどいて今更隠す事など何も…しからば…!
「拙者は…胸の大きさ関係なく、その、薫殿を好いているでござるよ。」
―――い、言ってしまった!!
「剣心…」
―――ああ、華のような笑顔…可愛い!
「私、嬉しい!」
がばっ
「〜〜〜〜っ!///」
―――薫殿、抱擁は嬉しいが…そのっ!
例の、問題のっ、薫殿の胸がっ!拙者の胸にぃ! 
―――ああっ、下のがっ、完全に薫殿に当たって!


「剣心…好き。」



ぷちっ


「薫殿!!」
―――もう無理!さよなら俺の理性!さよなら薫殿の貞操!!
「んっ…はぁっ…剣しぃん…」
ちゅっ  くちゅっ
―――薫殿の唇に、口内に、声に、この音
…興奮するでござる!口付けだけでは足りない!
―――ちと性急な気がするがどんどん行かせてもら
…いや、どんどんイかせてやるでござ…


「…………すぴー」



―――あれ?

―――うそだろ…

「か、薫殿!!」

―――忘れていた。彼女は酔っ払いなのだ。

「………生殺しでござるトホホ…。」







翌朝、頭が痛いと呻きながら起きてきた薫殿の記憶には
しっかりキレイさっぱり拙者とのやり取りは消去されていた。
そして

「ねぇ、剣心。」
「なんでござるか?」
「…男の人ってやっぱり胸が大きい女性の方が魅力的なの?」


振り出しに戻るのだった。とほほ。







■終われ■ 





・・・・・がんばれ剣心。






SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送